東京藝大WO第6弾CD!スタッフレビュー!
これは事件だ!スタッフレビュー!
藝大と大井剛史が本気で奏でるグレイアムとスパークの音楽
吹奏楽界の大家「P.グレイアム&P.スパーク」が代表作に込めた数多のメッセージを、TKWO常任指揮者でもある大井剛史氏が細部まで読み取る代表的演奏と呼べる音楽がここに爆誕!
吹奏楽ファンに捧げる魅惑のプログラム
まず、2024年リリース年の辰年にちなみ2名の作曲家による「サモン・ザ・ドラゴン」と「ドラゴンの年」が肩を並べ、同年に生誕200周年を迎えるブルックナーの最も人気の高い交響曲「第8番」から第4楽章を引用した「巨人の肩にのって」は金管の名手をオマージュしており、ソリスト含めエリート奏者が集結する藝大によって演奏されたことは、もはや必然ともいえます。
また、難曲が並ぶ中でも、ひときわ大きな存在感を放つ「ハリソンの夢」は言わずと知れた難曲中の難曲。それがゆえに海外のバンドやプロ楽団も含めこれと言った優れた音源はありませんでした。今回、作曲から20年以上の時を経てようやく「ハリソン」の決定版が生まれました。 この曲では藝大シリーズでお馴染みのチェロも登場。今はなき吹奏楽の殿堂「普門館」では、とある曲が理由で持ち込み禁止となった”水”を使う「ウォーターゴング」や金管奏者分の数を要し、調達に一苦労した「スモールハンドベル」などの特殊楽器の存在も際立ち、楽曲が持つ幻想的な効果を十分に引き立てました。
そして、コンクールでのスパークしか馴染みのない方に聴いて欲しいのが「ダンス・ムーブメント」。金管バンドのリアレンジ作品として広まった他のスパーク作品と違い、吹奏楽のために作られた本作は、吹奏楽が持つ本来の色彩感や個々の楽器のみならずセクションとしての魅力も感じながらエンディングに向かう高揚感を存分に味わうことが出来る、今後も語り継ぐべき名作と言えます。
楽器の音色がくっきりと浮かび上がる鮮明な感動
もう一つの注目点は東京藝大レコーディング・チームが演奏の魅力を最大限に引き出した匠の技です。ただでさえ楽器が多い上、混沌としたバランスに陥りがちなコンサートホール特有の音像も、入念なバランス調整によって全ての奏者がソリストに思えるほど鮮明な音響空間として広がります。リハーサルからレコーディング本番、さらにミキシングにおいても一切の妥協を許さない姿勢で、奏者や裏方スタッフ全員が一体となり、これだけの難曲を相手にあたかも楽しんでいるかのように向き合い、まさに「藝大の総力が集結した」極上のアルバムが誕生したのです。