【基礎練ドリル】おススメします!
公立の中学校では、平日は4日間、1日2時間しかない練習時間のバンドがほとんどです。昔はどのバンドもお金はなくても時間はありました。ですから、たっぷり時間をかけ丁寧に練習ができていたかもしれませんね。しかし今は、短時間で個々のあるいはバンド全体の技術を向上させなければなりません。そのために何ができるでしょうか。
私は、限られた時間の中で効率的に技術向上を図るためには、練習内容の見直しと優先順位の設定が重要だと思います。以下の6点を示します。
- 1.目的を明確にする!
- 練習の最終目標を設定し、何を最も改善したいのかを明確にしましょう。
- 例えば、特定の曲の仕上げ、技術的な基礎練習、表現力の向上など。
- 2.重点的な練習に絞る!
- 全ての要素を均等に練習するのではなく、今必要な部分に集中します。
- 例えば、難しいパッセージや苦手な部分だけを繰り返し練習する。
- 3.ウォームアップとクールダウンを短縮しすぎない!
- 身体と楽器のコンディションを整えるために必要な時間は確保しましょう。
- 4.効率的な練習方法を採用する!
- 分割練習(セクションごとに練習)や、スローテンポからの練習を取り入れる。
- 録音して自己評価や指導者のフィードバックを活用する。
- 5.省略できる部分を見極める!
- 例えば、ルーティンの反復練習や、あまり効果が見られない部分を短縮または省略する。
- また、練習の前後に行う雑談や無駄な動作も見直しましょう。
- 6.定期的な振り返りと調整が必要だ!
- 練習内容と効果を振り返り、必要に応じて計画を修正します。
たとえ短時間の練習でも、奏者は集中して目的を持って取り組むことで、確実に技術は向上します。
そこで、わたしは今回ブレーン株式会社が発刊した、「正しい演奏技術が身につく『基礎練ドリル』」をお薦めします。
まず、絶対に外せないのが、「ブレストレーニング」です。ユーフォニアム奏者の佐藤采香さんが監修し、レッスン動画を見ながらみんなで、個人で練習。実にうまくまとめられています。楽器を吹くための呼吸のイメージづくりにはもってこいの動画です。
実は、私が現場でガンガン指導している時に練習②の更に短いものを、コンクール舞台袖で前の団体の演奏中に、静かに迷惑にならないように、ブレストレーニングをやっていました。とっても効果がありましたよ。
また、吹奏楽部の練習だけではもったいないかもしれませんね。音楽の日頃の歌唱練習の前に「ブレストレーニング」を行ってもきっと豊かな歌声になると思います。
次に、各楽器ごとで「15ステップの練習」。先生方は忙しくて毎回練習につくことはできません。しかし、そんな場合、生徒だけで個人練習を進めていくことになります。高橋宏樹先生作曲の「楽譜を読んで歌うトレーニング」から「楽曲に挑戦」に進んでいきます。ここで大切なのは、「指導者と生徒との距離感」が大切になります。つかず離れず、無理なく、どう関わっていくかが大切なポイントです。この「基礎練ドリル」の指導書には「指導者の携わり方」の解説がしっかり記載されています。
個人で練習した成果は、ペアで確認、パートで確認するとよいでしょう。そして、本誌にあるように日付を記載していくこともお薦めです。私なら、個人カルテを作って、同じ楽器ではなくても、先輩が後輩に、同級生同士、あるいは後輩が先輩にアドバイスするのもありだと思います。
吹奏楽部の活動を生徒だけで進める場合、以下の点に注意しなくてはなりません。
- 1.明確な役割分担とリーダーシップの確立
- 生徒の中からリーダーやサブリーダーを選び、役割を明確にします。誰が何を担当するのかをはっきりさせることで、効率的に活動を進められます。
- 2.練習計画の事前策定と共有
- 練習スケジュールや練習内容を事前に計画し、全員に共有します。練習の目的や重点ポイントを明確にして、効率的な練習を心がけましょう。
- 3.指導者のアドバイスや資料の活用
- 先生方からの資料や録音・録画を活用し、自習や自主練習を促進します。また、必要に応じてメールやオンライン会議でアドバイスをもらうことも検討してください。
- 4.コミュニケーションの徹底
- 定期的なミーティングや連絡手段(LINEグループやメール→生徒個人とのやりとりは、先生方はお控えください。あくまでも生徒同士の連絡手段ですよ)を活用し、情報共有や意見交換を積極的に行います。
- 5.自主練習の質を高める工夫
- 個々の課題や目標を設定し、自己評価やペア練習を取り入れることで、効率的な上達を促します。
- 6.モチベーションの維持とチームワークの強化
- お互いを励まし合い、達成感を共有できる環境づくりを心がけましょう。定期的な成果発表や小さな目標設定も効果的です。
- 7.安全管理と健康管理
- 長時間の練習や自主練習の際には、体調管理や安全に配慮してください。
これらのポイントを意識しながら、協力して活動を進めていくことが、良い結果につながるでしょう。
先生方は忙しくて毎回練習につくことはできません。そんな場合は、生徒達だけで吹奏楽部の活動を進めていかなくてはいけません。
今こそ、この「正しい演奏技術が身につく『基礎練ドリル』」が各個人のスタンダードとして使えば、間違いなく個人レベルの向上、バンドの技術力、そして個人のモチベーションが上がること間違いなしです。
是非、お試しください。
石川県吹奏楽連盟理事長
田中 一宏














