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2019小編成レパートリー徹底解剖!

第二回「PLUS ULTRA/清水大輔」:国本女子高校・鈴木文雄先生

いよいよ発売の迫る小編成レパートリーVOl.12「火の伝説」。

どんな作品? 聴きどころは? 演奏するときは何に気をつけるべき?

などなど、新曲の魅力・ポイントを現場の先生に紹介していただきます!

CD「火の伝説」詳細はコチラ

2018年12月18日

白紙のキャンバスに描くオリジナルストーリー

夏の吹奏楽コンクール。毎年毎年、演奏するメンバー・作品が変わり、多くの経験・勉強をさせてもらう機会の一つです。近年は多くの邦人作品も登場し、選曲はいつも迷いに迷います。長い時間をかけ音楽を作り上げることを想像すると様々な不安も出てきますが、生徒の顔を思い浮かべて、コンクールに向けた数か月での目覚ましい成長を想像しながら選曲するのは楽しいものです。生徒の一生の想い出となるひと夏の作品選びですから、もちろん大きな責任も感じます。怖いようなわくわくするような……そんな感じです。


さて、「PLUS ULTRA(プルス ウルトラ)」についてです。プルス…?何語? と思ったのが率直な感想。ラテン語で「もっと先へ」「更なる前進」とのことです。初めてスコアを見た印象は、まさに「標題音楽」。表現内容や物語的な展開を考えたくなる、また観客にいろんな想像をしてほしい、そんな音楽だと思いました。

オリジナルストーリーを組み上げる

「標題音楽」と書かせて頂きましたが、もっと言えばまさに「映画音楽」!そんな印象です。場面ごとに様々な情景・感情を思い浮かべることができました。私は、「夜明け・サバンナ・嵐・愁傷・受容・赦し・前進」などをイメージしました。そこから詳細なストーリーを考えるのも音楽の一つの楽しみ方だと思います。生徒とオリジナルのストーリーを共有しその音楽を「観客に伝える」。そのために音楽・フレーズをどうしたらよいのか、生徒の自主性を駆り立てる一つの題材としても良いと思います。

モチベーションを駆り立てる難易度設定

作曲された清水大輔氏は今の吹奏楽界を牽引する作曲家のひとりだと思っています。難易度の高い場面も少なからず盛り込まれていますが、あえて音楽表現を優先している作品は、演奏者のモチベーションを非常に駆り立てます。とはいえ「絶対にできない」というフレーズはないかと思います(途中トランペットの難しいパッセージはありますが)。夏のコンクールに向けて技術向上を図る上では、ある程度の難度も必要です。どのパートもそれぞれの持ち味を十分に生かせるフレーズが用意されています。ただし、パートの音色の重なりを各奏者が意識し、バランスを感じながら演奏する必要がありそうです。

イメージすることを大切に

スマートフォンやタブレット・パソコン・テレビ・街中の動画広告など、現在の生徒は生活の中で非常に多くの映像を目にしています。文字から風景や心情を「想像する」というよりは、映像という完成された情報を「受け取る」ことが多いようです。小説を読み、その情景をイメージし展開を想像する、そんな経験は以前より少ないように思います。


この作品は、「ここはどんな場面なんだろう?」「これからどんな展開になるんだろう?」とイメージを駆り立てる仕掛けがたくさん盛り込まれていると感じました。生徒それぞれ、想像するシーンは三者三様。そのイメージを言葉にして共有し、共有したイメージを具現化するため長い時間をかけて音楽を作っていく。
まさにひと夏を懸けて作り上げる、そんな「大作」になると感じた作品です。

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筆者プロフィール

鈴木文雄(国本女子中学校高等学校 教諭)

千葉県出身。東京音楽大学音楽学部器楽科トランペット専攻卒業。トランペットを津堅直弘氏に、室内楽を山本孝氏に師事。現在、国本小学校、国本女子中学校高等学校吹奏楽部顧問。2010 年より国本女子中学校高等学校にて指導を始め、東日本学校吹奏楽大会2回出場、日本管楽合奏コンテスト5回出場。

(国本女子高校・鈴木文雄先生)

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