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2019小編成レパートリー徹底解剖!

第四回「蒼海の覇道/田村修平」「七つの湖-ブルガリア民族音楽による/高橋宏樹」:瑞穂町立瑞穂中学校・藤川 洋先生

いよいよ発売の迫る小編成レパートリーVOl.12「火の伝説」。

ベテラン指導者による演奏や練習のヒントが盛りだくさん!

現場の先生だからこその視点で紹介していただきます!

CD「火の伝説」詳細はコチラ

2018年12月28日

音を出す責任感とは

昨今の吹奏楽部は、活動の在り方が大きく変わろうとしています。これから部活動の練習時間短縮が進むにつれ、吹奏楽部の課題は「時短」だと思います。明確な目的・意思を、これまで以上にはっきりと持って活動することが「時短」への近道だと思います。私は楽曲練習に取り組む際にはその曲の持つ「テーマ」「イメージ」を生徒に伝えるところから始めます。まずここに生徒と指導者の間に意識の違いがあってはいけません。両者がともに向かうべき場所をしっかりと見据えて練習をすることが時短に繋がると常に考えて活動・指導をしています。


現在、私の学校では基礎合奏はバランス練習やB♭durのハーモニー練習などの基本的なことしか行っていません。その他に必要な練習は曲の中で自ら体感する方が、「テーマ」「イメージ」を共有しやすいと思うからです。今の学校の生徒は、楽器経験が3年未満の生徒がほとんどです。中学生にとっては難しいことかもしれませんが、なるべく曲の中で和声の進行やそのハーモニーの持つ色を、生徒とイメージ共有しています。生徒が和声の進行や色を理解し始めると、自然と表情豊かに歌い始めたり自分の出している音の役割を理解し、責任をもって音を出すようになってきます。


作曲者は必ず一つ一つの音に「意味」を持って書いていると思います。その「意味」のある1つ1つの音を責任感なく演奏してしまうと折角の練習が台無しになりかねません。この責任感を養うことができるようにどう工夫するか…常に考えて合奏に臨んでいます。

蒼海の覇道/田村修平

壮大でダイナミックな「海」がテーマ

私の田村さんへのイメージは、吹奏楽曲というよりアンサンブル曲の印象。特に「鬼姫(フレキシブル8パート)」は、心に訴えかけてくる美しいメロディが素晴らしいですね。耳なじみの良い旋律があると、曲の構成や「テーマ」「イメージ」など子供たちが理解しやすいと思います。生徒とのイメージの共有がスムーズです。


すごくいい意味で「ザ・吹奏楽」という雰囲気!構成のきちんとしている曲といった印象です。
最近の吹奏楽らしい、アイデアが詰まった作品だと思います。コンクールの自由曲にもってこい。「海」をテーマとしているだけあって、ダイナミックな展開が印象的。きちんと起承転結があり、中学生だけでなく高校生でも時間をかけて練習できる曲ではないでしょうか。ダイナミクスの変化が大きくpp~ffffまであり、聴き手には大きなインパクトを与えられそうです。演奏効果が高く、小編成でも十分な迫力とスケールが出すことのできる曲です。

七つの湖-ブルガリア民族音楽による/高橋宏樹

"オシャレ"な音が魅力

高橋宏樹さんといえばやはり課題曲、特にマーチのイメージが一番強いですね。「イギリス民謡による行進曲」(2003年)、「ストリート・パフォーマーズ・マーチ」(2005年)、「オーディナリー・マーチ」(2010年)などマーチがズラリと並びます。スタンダードながらも構成や和音が工夫されていて、とってもオシャレな曲を作曲されますよね。簡単だからこそ奥深い、というのが高橋宏樹さんの曲のイメージです。


先ほどもお話した通り、高橋宏樹さんの曲はとってもわかりやすい! この曲も非常に構成が分かりやすく、場面転換のメリハリや曲のキャラクターがはっきりとしています。民族音楽をテーマにしているので変拍子やリズムがオシャレなのも魅力ですね。もちろんメロディックなところも素晴らしいです。演奏の観点から見ると、金管も音が高くなく初心者が多いバンドにおススメできます。打楽器も楽譜を見る限り、工夫次第で2~3人でも演奏できるのではないでしょうか。

筆者プロフィール

藤川 洋

秋田県湯沢市出身。東北学院大学教養学部卒業。2001年より秋田県において中学校吹奏楽部の指導を始める。2007年・2008年、湯沢市立湯沢南中学校において、全日本吹奏楽コンクールに出場し、2年連続金賞受賞。2012年より瑞穂町立瑞穂中学校英語科教諭として赴任。同校において東日本学校吹奏楽大会に5回出場し、金賞受賞3回。日本管楽合奏コンテスト1回出場。

(瑞穂町立瑞穂中学校・藤川 洋先生)

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