ユーフォニウム4重奏：エキノックス／クリストファー・ボンド【アンサンブル輸入楽譜】

作曲：クリストファー・ボンド(Christopher Bond)
編成：ユーフォニウム4重奏

4 Euphoniums

ユーフォニウム四重奏のための作品『Equinox（エキノックス）』は、2011年の終わりに作曲され、ユーフォニウム四重奏団「Euphony（ユーフォニー）」のために書き下ろされました。
初演は2012年1月、イギリスのロイヤル・ノーザン音楽大学で行われた「ブラス・フェスティバル」の開幕コンサートにて行われ、以降この作品はユーフォニーによって各地で演奏されるようになります。その中でも特筆すべきは、2012年6月にオーストリア・リンツのブルックナーハウス・コンサートホールで開催された「国際チューバ・ユーフォニウム会議」での演奏で、国際的にも注目を集めました。
作品のタイトルである「Equinox（昼夜平分時）」は、ラテン語の「aequi（等しい）」と「nox（夜）」に由来しており、春分や秋分のように昼と夜の長さが等しくなる現象を意味しています。この自然現象のバランスや対称性を意識し、作曲者は楽曲全体を2つの主題群から構成し、それぞれを同じ長さのセクションとして配置しました。
最初のセクションは、短い序奏に続いて登場し、「エネルジコ（Energico）」の指示のもと、力強く展開していきます。ここでは、美しく持続する旋律が、速くて軽快なリズムの伴奏の上に乗って奏でられ、ユーフォニウムの歌心が存分に発揮されます。
続く第2セクションは、一転してテンポも表情も穏やかで、夜の静けさを思わせるような雰囲気に包まれます。ここでは、前半との対比が鮮やかで、昼の騒がしさと夜の静寂というイメージの対比が音楽の中に織り込まれています。
そして最後のセクションでは、それまでに登場した両方のテーマが融合され、活力に満ちたフィナーレへと突入します。
四重奏の各パートが巧みに絡み合いながら進行し、ユーフォニウムという楽器の持つ豊かな表現力と技巧性を最大限に引き出す構成になっています。
『Equinox』は、ユーフォニウム四重奏の可能性を示すと同時に、演奏者にも聴き手にも強い印象を残す作品です。