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練習時間が限られる中でもオペレッタシリーズを味わえる作品!
鈴木英史氏の豊かなアイデアによるオペレッタシリーズの中では、技術的には易しい作品です。「コロナ禍で練習が制限されても、何とか音楽の楽しさや美しさを味わわせてあげたい」と・・・
楽曲詳細情報
- 作曲
- R.ベナツキー(Ralph Benatzky)
- 編曲
- 鈴木英史(Eiji Suzuki)
- 演奏時間
- 8:00(約)
- グレード
- 3
- 主なソロパート
- Sax.(soli)
- Trp.最高音
- 1st:G / 2nd:D
- 最少演奏人数
- 22人
- 編成
- 吹奏楽
楽器編成
- Drum Set
- Timpani
- 1st Percussion練習用音源
- Suspended Cymbal
- Wind Chime
- Crash Cymbals
- 2nd Percussion
- Triangle
- Wind Chime
- Ratchet
- Xylophone
- Chimes
- Bass Drum
- 3rd Percussion
- Chimes
- Glockenspiel
- Vibraphone
楽曲解説
ラルフ・ベナツキーは1884年モラヴィア(現チェコスロバキア)生まれ。ミュンヘンで高名な指揮者フェリックス・モットルに音楽全般を学び指揮者・作詞家として活躍。ウイーンではキャバレーの監督として働き、シャンソン、キャバレーソングを多数作曲。20歳代後半にベルリンに移住してからは規模の大きいミュージカル風作品を手がけます。ナチスドイツの台頭により1938年にアメリカに亡命しハリウッドの映画音楽界で活躍。戦後はヨーロッパに戻り、1957年に亡くなるまでチューリッヒで暮らしました。
「白馬亭にて」は1930年に作曲・初演された、ザルツブルグ郊外にある避暑地に実在するホテル「白馬亭」を舞台に、女主人ヨーゼフと給仕長レオポルドとの愛と避暑客人の恋を織り交ぜた全3幕の喜劇。いくつかのナンバーはロベルト・シュトルツ、ブルーノ・グラニシュテーテン、ロベルト・ギルベルト(歌詞も担当した)が作曲しており、これはミュージカルで見られる共同制作方式の先駆けです。本吹奏楽編曲はベナツキー担当部分のみが使われています。
作品はアメリカン・ミュージカル風のスタイルで書かれ、「大学祝典序曲」でも使われた旋律の引用に加え「ラデツキー行進曲」が複調の手法で出てくるなど斬新な工夫も見られます。
【演奏に当たって】
ポップス風テイストが濃厚ですが、[J]~[N]の前までを除いて、演奏スタイルや奏法はクラシック寄りにします。
冒頭は保続音の低音の響きが大切です。[A]以降、8分音符がスタカートなると「歌」になりにくいので注意します。[B]はmfのパートが主旋律。[C]はブラームスの「大学祝典序曲」でも使われた学生歌”Was kommt dort von der Hohe?”(あそこの山からくるのは何)の引用。[E]からテンポを上げて繋ぎます。[F]は8小節フレーズです。5小節目のサックスに繋がるように4小節目が切れないよう注意します。[G]5-6小節目のTp,は2拍目で和音になる8分音符を丁寧に。[I]は汽車の模倣、Trb.と木管高音は警笛です。
[J]からのジャズ風スラーは固めに動きましょう。[J]~[R]終わりまでは全て同じテンポです。[L]の前、[M]の前、[N]の前は全てrit.は無しで指揮します。rit.すると崩れやすいので注意。[N]は繋ぎの部分でアリアは[O]からという構成も明確に。[O]の主役はmfの中音域の対旋律です。[Q]から主旋律だけの音楽になるので構成の違いを意識します。
[W]から「ラデツキー行進曲」が引用され、[X]からマーチと重なります。異なった調で重なるこの部分は両方とも対等のバランスで、[Y]の前は打楽器のcresc.が全てを覆い尽くしてコーダに入ります。[F]よりもテンポが速いプレストで輝かしく幕を閉じます。
(鈴木英史)