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投稿エピソード#11

防府市立桑山中学校 竹中俊二先生/脈々と受け継がれる伝統は現在(いま)もここに

全身全霊で表現し12分間を謳歌した生徒に感謝

 この年は、私が昭和51年に吹奏楽の指導を始めてから、20年目の節目の年でした。

その年に選曲した課題曲は松尾善雄氏作曲「般若」です。6分を超える長めの課題曲でしたが、和物特有の味わいを大切にして、本校なりのオリジナルでクリエイティブな演奏づくりに励むことができたと思っています。

 

 それまでは、ほとんどアレンジ物を自由曲に選んでいましたが、ちょうど20年前に、隣の中学校がJ.B.チャンスの「呪文と踊り」を自由曲として演奏していたことを思い出し、「よし!20年目だ。初心に戻って一念発起。再スタート!!」という思いに至り、この曲を選びました。

 

 自由曲は課題曲と対峙した対照的な曲想のオリジナル曲で、本来8分程度の曲。カットは迷いましたが、思い切ってカットしても曲の持ち味を損なわないように精いっぱい配慮しました。

 

 なんと全国大会(普門館)での全演奏時間は『11分58秒』だったそうです。

事前の練習では余裕で12分間以内でした。12分を出たことは、一度もありません。まさに瀬戸際の演奏時間。この件はしばらくしてから耳に入ったものですが、その責任を考えると、今考えても背筋が凍る思いです。

 

 この年は3金(3年連続金賞受賞)がかかる年でした。もし、金賞をいただくことになれば、翌年はコンクールをお休みしなくてはなりませんでした。もちろん、金賞を狙いたい。半面、翌年の3年生はコンクール出場させてやれない。という複雑な思いがあったことを覚えています。

 

 本番演奏が終わり、たくさんの「ブラボー・コール」をいただき有り難かったです。そして表彰式。指揮者賞を受け取り下手袖に行くと、「上手袖に行ってください」と役員の方にそっと促されました。普門館の反響版の裏を上手袖へ向かってゆっくりと歩くとき、「ひょっとして!?」という、また複雑な思いが頭をよぎりました。そして、あの感激の瞬間でした。表彰式において「金賞」が発表され、表彰式最後には、「3年連続金賞」の表彰も受けることができました。光栄でした。複雑な思いの中、子どもたち、保護者共に、全員が成果を素直に喜んでくれていました。

 

 翌年は山口県大会、中国大会共に特別演奏を披露させていただくことができましたが、普段のコンクールでは演奏しない曲や踊りも交えて、貴重な体験ができ、部員たちも楽しく、充実した感動の活動ができたと思っています。また、その後の後輩たちも再び続けて全国大会(普門館)で成長した姿を披露することができたことが嬉しかったです。

 

 当時の部員たちは臆することなく、自分の思いを全身全霊で表現し、あの時を逞しく生きて、謳歌してくれました。それらはすべて、その後の桑山中吹奏楽部の活動の礎になってくれていると感じています。当時演奏していた部員たちが今では親になり、娘さんたちが同じ桑山中で演奏していることを考えると長い歴史を感じます。感無量です。脈々と受け継がれる伝統、素晴らしいこれからの活動を見守り続けたいと思います。

 

 





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