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ありがとう普門館 - 伊予高等学校吹奏楽部顧問 長谷川公彦先生

ありがとう「 普門館 」長谷川公彦先生

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普門館とともに成長してきた私と伊予高。多くの想いが詰まっている普門館には感謝してもしきれない。
ありがとう「 普門館 」長谷川公彦先生

普門館との出会い

 

 異動希望を出したことのない私が、思いもよらず伊予高校に赴任してから10年も経ってしまった。創設2年目で普門館のステージに立った吹奏楽部は、その後も多くの経験と歴史を積み重ねていた。当時は3年連続で全国に出場したら一回休みという制度があったが、そのコンクール不出場の翌年度に着任することとなった。その年の自由曲はラヴェルの「スペイン狂詩曲」、そして四国支部代表で全国出場を果たすことになる。

        

 全国大会の地「普門館」。想えば、高校2年生の時に母校が初めて中国支部代表となって全国大会出場、部員と先生方全員が下関駅から寝台列車「みずほ」に乗って上京したのだった。大会当日、移動のバスが近づくと、堂々たる風格、偉容を誇る普門館が見えてきて、思わず皆が歓声を挙げた。しかし、歓びも束の間、ライトを浴びての本番は黒い舞台が小刻みに揺れていた。いつもは頼もしい先輩たちまでもが緊張で震えていたのだ。

 そんな普門館に、赴任したこの年「スペイン狂詩曲」を自由曲として初めて伊予高校を率いて舞台に立つことになったわけだが、高校時代の印象とも、東京佼成ウインドオーケストラのエキストラとしてこの会場で演奏したときの心地良さとも、全く違う感情が私の中にあった。まだまだ磨き足りない未熟な演奏であることはわかっていた。
金賞や名演で知られる超有名バンドと伊予高校では、スタッフとして手伝う大学生の対応が違うことにも気付いていた。それでも、胸を張って挑戦しようとする凜とした気持ちだけは湧いてきた。生徒たちと私は同じ側に立てたと思う。

忘れられない年と忘れられない作品

 忘れてはならない年がある。赴任2年目、県大会金賞で終わってしまうという、思いもよらない結果となった。涙の敗退となったその翌朝、いつもどおり朝練習で全員が揃っていたことには驚いた。これが「伊予高校だ」と思った。伊予吹を志してきた生徒たちの気持ちの強さを感じた日だった。この生徒たちのために頑張らねばと決意した。後述する記念CDに「ユーレイズミーアップ」を収めたが、これは自分を高めてくれるのはいつも君たち教え子たちだというメッセージを込めたつもりだ。演奏会前日のリハーサル時に収録したものなので、よれよれなのはお許しいただきたい。

 どの年にも、想いがあるが、2012年の課題曲「香り立つ刹那」、自由曲「ラ・ヴァルス」は、この課題曲をお書きになった作曲家 長生 淳氏よりわざわざメッセージをいただいたので紹介しておきたい。


 

 「あ、ここまでできるのか」という感嘆がありました。自由曲のラヴェル「ラ・ヴァルス」とうまくつながっていて、12分間がひとつの音楽のようでした。この「ラ・ヴァルス」は持ち味が色合いの微妙な陰影の変化であったり柔らかな質感であったりというせいか、他のラヴェル作品に比べて、コンクールではそこまで演奏されていなかった気がします。そんな「ラ・ヴァルス」の魅力を、伊予高は存分に引き出していました。そしてまた課題曲もフランス近代的な膨らませ方をしていて「こんな表現だってできるのだな」とびっくりしました。


 普門館とともに成長してきた私と伊予高。多くの想いが詰まっている普門館には感謝してもしきれない。

部員とともに

また、2017年度は私が伊予高に赴任して10年の節目であった。その節目に記念のCDを制作する運びとなった。赴任してからこれまでの歩みを、一年ごとに追ったものだ。その年ごとに2曲ずつに絞ったので、気持ちの入ったライヴ演奏が収録されているということになる。当然、ライヴ録音であるし、未熟な高校生たちの演奏である。おまけに伊予高校の指揮台に戸惑いながら、迷いながらも取り組んできた私の指揮であるから、至らないところが多々ある。

 それでも、小学校の金管バンドや、中学校から初めて楽器を手にした吹奏楽経験者の皆さん、音楽を愛する方々には、なぜか懐かしくなるような、そして同じバンドにいるような楽しい錯覚におちいっていただけるのではないかとじつは思っている。
 ぼこぼこに凹んだラッパ、緑青のにおい、外れ掛けた楽器ケースの取っ手。そんなところから楽器を始め、音楽がいつしか手放せないほど大切な宝物となり、仲間といまだにつながり、自分のコンクールでもないのに、泣いたり喜んだりしている。
 そういう吹奏楽ファンには、手の届かないほどの高みではないけれど、これもいいな。そんなふうに若い世代の後輩たちの頑張りに納得していただけるような一枚なのではないかと期待している。

 ブックレットに掲載したメッセージを最後に添えて・・・・。

この10年、もっとうまくなれないか・・・
そればかりを考えて走り抜いてきた
 
もっと美しい音が出せないか
もっと響かないか
 
感動的な演奏って何だ
作品のすばらしさって
どうしたら伝えられるのか
 
そんな想いで日々を
そして一年一年を重ねてきた
 
普門館に そして名古屋に行ってあたりまえ
 
そんな周囲のささやきや期待に
ときに押しつぶされそうになりながら
 
厳しさと楽しさのある練習にしたかった
 
苦しいけれど喜びのある部活動にしたかった
 
荷物を重いと嘆くより、強い背中がほしいと願え

そうはいうけれど、私には部員たちの頑張りこそが杖となり、支えとなった。
胸を張らせてくれたのは、いつも部員たちだった。

ありがとう

伊予高等学校吹奏楽部顧問 長谷川公彦先生

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